野菜解説

沖縄のお菓子に欠かせない紅芋の栄養を語る 野菜別解説-紅芋編

ハイサイ!前回はアボカドについてお話ししました。

今回は紅芋編!沖縄の名物として知られていますが、紫芋との違いはあるのか、栄養はどうなのかなど解説していきます!

要点まとめ

・紅芋と紫芋は分類から違う
・豊富な食物繊維、ビタミン、ミネラルを含む
・紫色はアントシアニンによるもので、眼精疲労に効果あり

 

紅芋はこんな芋!紫芋とは違う?

紅芋はヤマノイモ目ヤマノイモ科、ヤマノイモ属に属する植物です。和名はダイジョ(大薯)、英名はPurple Yamです。

※紅芋の適切な画像の入手が難しいため、本記事の画像は通常のサツマイモや紫芋が含まれています。

紅芋と紫芋は別の品種です。

表でまとめると以下のようになります。

二つの違い 分類
紅芋 ヤマノイモ属 やや甘い 赤紫色/紅色
紫芋 サツマイモ属 そこまで甘くない 鮮やかな紫色

 

まず驚くのは、しょっぱなから分類が違います。

紅芋はヤマノイモ属なので、山芋の仲間です。別名のダイジョ(大薯)にも自然薯の漢字が入っていますね。

そして、紫芋はサツマイモ属なので、あのいわゆる普通のサツマイモの仲間です。なので学術的には明確に違うものです。

とはいえ、味や色、利用のされ方などはほぼ一緒なので混同している方も多いと思います。

味については両方とも似てはいますが、紅芋はそのままでも割と甘さを感じるのに対し、紫芋はそこまで甘くなく、加工向けです。

色も似ていますが、紅芋の方がやや色合いは薄く、皮の周りに近い部分は白っぽいです。対して紫芋は全体が鮮やかな紫色になっているのが違いと言えば違いです。

石垣島含む沖縄では紅芋が多く栽培されており、紫芋は鹿児島が多いです。

紅芋はそのまま蒸しても美味しく食べられますが、紅芋タルトやアイスなど、沖縄県内では加工されている商品も多く見られます。

他にもたい焼きの餡やちんすこうなど、色合いがとても鮮やかなため、多くのお菓子に使われていますね。

家庭で食べる場合は蒸したり焼いたりしても良いですが、薄く切ってバターで焼いて砂糖を振ると簡単に満足感のある一品ができるのでおすすめです。

石垣島内ではウベやうむくじといった呼ばれ方もしており、うむくじ天はスーパーにも置いてある手ごろなおやつです。

甘くてもちもちしておりとても美味しいので、島に立ち寄った際はぜひ食べてみて下さい。

 

紅芋の栄養!主食となりえる栄養素にアントシアニンも

では、紅芋の栄養についてまとめます。

紅芋の栄養素(抜粋)

炭水化物(31.7g)
食物繊維(2.5g)
・カリウム(370mg)
・カルシウム(24mg)
・マグネシウム(26mg)
・βカロテン(4μg)
・ビタミンE(1.3mg)
・葉酸(22μg)
・ビタミンC(29mg)
アントシアニン

炭水化物と食物繊維を筆頭に、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ビタミン類など幅広く含まれています。芋類は主食として食べられているところもあり、栄養価は非常に高いといえます。

では、それぞれの効能について簡単にまとめます。

炭水化物 体内でのエネルギー、脳の唯一の栄養
食物繊維 便秘の解消、腸内環境改善、満腹感を維持する
カリウム むくみ予防、夏バテ予防、高血圧予防、動脈硬化予防
カルシウム 骨や歯を作る、気持ちを安定させる、免疫力を高める
マグネシウム カルシウムの補助、不整脈予防、体温・血圧の調整
βカロテン 目の健康維持、生活習慣病予防、美肌効果、免疫力向上
ビタミンE ホルモンバランスを整える、肩こり・生理痛・冷え性改善
葉酸 胎児の健全な発育、貧血、認知症予防
ビタミンC 抗酸化作用、肌荒れ予防・改善、感染症予防
アントシアニン 視力回復、アンチエイジング、がん予防、認知症予防、殺菌効果

以上のようになります。特に注目すべきものを太字にしたり赤字にしたりしています。

 

2-1.必須栄養素、炭水化物(食物繊維)を多く含む

芋類なので当然なのですが、紅芋もまた炭水化物を多く含んでいます。

上の表では炭水化物と食物繊維を分けて書いていますが、そもそも炭水化物は糖類(でんぷんやブドウ糖など)と食物繊維を合わせたものです。

糖質は体を動かす際のエネルギーになり、特に脳ではブドウ糖が唯一のエネルギー源です。そのためこれが不足するとイライラしたり、集中力が低下します。

身体に貯蔵されやすい(=太りやすい)ため、ダイエットや筋トレ時など、何かと敵視されやすい炭水化物ですが、体にとっては間違いなく必須な栄養素です。

ダイエット時にも、健康に痩せるためには糖質制限をしつつある程度の炭水化物は取ったほうが良いです。むしろサツマイモなどはGI値が低い(=血糖値を上げにくく、脂肪の分解を抑制するインスリンを出しにくい)ためダイエット向きと言われることもありますね。

また、筋トレ時にはあまりにも糖質を取らないとたんぱく質を分解してエネルギー源にしてしまうため、かえって効率が悪くなります。そのため、筋トレをする人も最低限の糖質の確保が推奨されています。

食物繊維は消化酵素で消化されずに腸まで届き、善玉菌の栄養になって腸の働きを整えたり、コレステロールを吸着して血中コレステロール値を下げたりしてくれます。また、糖質の吸収を抑える働きもあるため血糖値が上がりにくくなります。

確かに炭水化物を取りすぎると肥満や糖尿病になりやすいというリスクもあります。ですが上記のようにただ悪いものではないため、例えば一食白米の代わりに紅芋を食べたり、スナック菓子の代わりに紅芋(もちろん、加工品でないもの)をおやつに食べたりと、うまく利用していきましょう。

ダイエットとして紅芋を用いる際は、焼いたり油で揚げるとGI値が高くなってしまうため、蒸す、茹でるといった調理をするのがおすすめです。

 

2-2.目の疲れにアントシアニン+ビタミンAのダブル効果

スマートフォンの普及やテレワークといったIoT(Internet of Things:生活の中でインターネットが浸透した状態)が進む中で、目を酷使する機会も増えてきました。

紅芋にはブルーベリーに含まれているアントシアニンと、体の中でビタミンAに代わるβカロテンが含まれています。

あの紫色はアントシアニンというポリフェノールによるものですね。

アントシアニンとビタミンAはどちらも眼精疲労を癒し視力の維持・改善に効果があるとされています。夜盲症の予防にも効果的ですね。

まさに現代を生きるには必要な栄養素です。

 

2-3.その他にもストレス緩和、夏バテ予防、ホルモンバランスの調整など様々な効果が

芋類は主食として食べられることも多く、それに見合う栄養をもっています。

上記の炭水化物やアントシアニンだけでなく、カリウム、カルシウム、マグネシウムといったミネラル類、ビタミンE、葉酸(ビタミンB9)、ビタミンCといったビタミン類も豊富です。

これらには抗酸化作用、血圧の調整、夏バテ予防、ストレス緩和、ホルモンバランスの調整など様々な効果があります。

もちろん紅芋のみを食べていればいいというわけではありませんが、普段からまんべんなく栄養素を取れるという意味で良い食材と言えます。

 

【まとめ】紅芋は豊富な栄養素があり、加工品だけではなくそのまま食べるのもおすすめ

今回は沖縄名物、紅芋についてお話ししました。内容を簡単にまとめます。

・紅芋は山芋の仲間、紫芋はサツマイモの仲間

・食物繊維が豊富で腹持ちもよく、ダイエット向き

・アントシアニンが眼精疲労予防に効果的

以上です。

皆さんも普段の生活に紅芋を取り入れて、目を気遣いつつ健康元気に生きましょう!