ハイサイ!前回はパプリカについて解説しました。
今回はサトウキビについて解説します!野菜…ではないかもしれませんが、石垣島とも縁の深い、サトウキビについて知っていって下さい!
・黒糖が好きだ
・黒糖と砂糖の違いが知りたい
・普段の料理で黒糖を使ってみたいと思っている
・サトウキビから作られる黒糖は栄養豊富!
・体にやさしく、血糖値を上げにくい
・夏バテ予防にも最適!
私たちの生活に欠かせないサトウキビ
サトウキビはイネ目イネ科、サトウキビ属に属する植物です。和名はサトウキビ(砂糖黍)、別名かんしゃ(甘蔗)とも呼ばれています。英名はsugarcaneです。
沖縄に来た際、このように道沿いに生えている植物を見たことがありませんか?これがサトウキビ畑です。
一見すると何の植物かわかりにくいですが、背丈の高い葉を付けます。てっぺんにつく穂は、イネ科だけあって稲のように見えます。
主に利用されるのは茎の部分で、これを粉砕して搾り、煮詰めていくことで黒糖ができます。沖縄のお土産物屋さんでは茎の部分がそのまま売られていて齧ったりもできますね。そのままでも十分な甘さが感じられます。
普通の砂糖は雑味のない純粋な甘さを感じられますが、黒糖は独特のコクや苦み、塩気などを感じるものもあります。
このため料理によって合う・合わないがあり、使用される機会が異なってきます。
更にもう一つ、サトウキビの特徴として燃料としての需要があるということです。
バイオマス、という言葉を聞いたことはあるでしょうか。サトウキビの搾りかす(バガス)を利用して、エコな発電ができるというものです。
これには様々なメリットがありますが、まずサトウキビはそもそも光合成で空気中の二酸化炭素を酸素に変えているため、それを燃やして使っても地球上の総二酸化炭素量は変化しない、という利点があります。
さらにはすでに世界中でサトウキビから砂糖を作る工程は確立されているため、燃料を加工する段階を省略できるというのもメリットです。
石炭や石油等と違って次々に生み出していけるというのもいいところですね。※石炭や石油も元を正せば植物ですが、数億年前のものを現代で燃やせば現在の二酸化炭素量は増えてしまいます。
搾りかすは家畜の飼料として使われる面もありますが、それでも破棄される量は相当のためそれらを再利用できるならまさに地球にやさしい再利用可能な燃料ということになります。
地球温暖化問題の解決にも一役買っているサトウキビ、想像以上に私たちの生活に役立っているようです。
黒糖と砂糖の違いは?
黒糖を更に精製していって、余分なものを取り除いたものが砂糖です。つまり、黒糖は砂糖の前段階ということですね。余分なもの、と言ってもそれはミネラルやビタミンだったりするので、栄養価は黒糖の方が高いです。それについては後で詳しく解説しますね。
ちなみに、黒糖と黒砂糖は同じものです。何となく黒糖はブロック状に固まったもので、黒砂糖はザラメのように色付きでサラサラとした砂糖というイメージがある方もいるかもしれません。
ですがこの二つは同じものなので、塊状の黒砂糖もあれば粉末の黒糖も売られています。粉末状のものは料理に使いやすく、ブロック状のものは黒糖梅酒を漬けるときに使ったり、そのまま食べてもいいですね。
ただし、黒糖と加工黒糖は違います。黒糖が純粋にサトウキビを絞って作られたものに対して、加工黒糖は黒糖にショ糖などを混ぜて成分を調整したものです。黒糖より安価で売られているのでうれしいですが、より自然に近い形のものは黒糖や黒砂糖なので覚えておいてください。
砂糖の原料はサトウキビのみではない!
実は、国内の砂糖の80%はサトウキビではなくビートと呼ばれる植物から作られています。ビーツではありません。紫色のビーツではなく、大根のような甜菜(てんさい)と呼ばれる植物です。テンサイ糖の原料にもなっている植物ですね。
これはビーツですね。鮮やかな紫色が美しい野菜です。
これが国内の砂糖の80%の原料になっているビートです。そのまま砂糖大根とも呼ばれています。
ビートは国内だと北海道でしか育てられていません。一方サトウキビは沖縄~奄美諸島、鹿児島など九州の一部で作られています。日本の北と南で砂糖の原料は作られているんですね。
ビートとサトウキビ、どちらから作られたものも精製をしていけば最終的に砂糖(上白糖やグラニュー糖)になります。
しかし、黒糖は原材料の性質の違いからビートでは作りにくく、2006年に北海道で初めて作られました。ビート由来の黒糖は「ビート糖」などと表記されており、今でも「黒糖」はあくまでもサトウキビの搾り汁のみで作られたものを言います。
黒糖の栄養はすごい!
それでは黒糖に含まれる栄養素を砂糖との比較でみていきましょう。
成分 | 黒糖 | 砂糖 |
カロリー(kcal) | 354 | 384 |
たんぱく質(g) | 1.7 | 0 |
炭水化物(g) | 89.7 | 99.2 |
ナトリウム(mg) | 27 | 1 |
カリウム(mg) | 1100 | 2 |
カルシウム(mg) | 240 | 1 |
マグネシウム(mg) | 31 | Tr |
リン(mg) | 31 | Tr |
鉄(mg) | 4.7 | Tr |
亜鉛(mg) | 0.5 | 0 |
銅(mg) | 0.24 | 0.01 |
ビタミンB1(mg) | 0.05 | 0 |
ビタミンB2(mg) | 0.07 | 0 |
ナイアシン(mg) | 0.8 | 0 |
※引用:沖縄県黒砂糖協同組合、沖縄県黒砂糖工業会
※()内は100g中の含有量を記載
※Trはごくわずかに含まれているが最小単位に達していないもの
その他の黒糖特有の注目成分として、オクタコサノール、フェニルグルコシド、ラフィノースがあります。
それではそれぞれの効能について簡単にまとめます。
ナトリウム | 細胞の浸透圧調整、筋肉・神経の機能を正常に保つ |
---|---|
カリウム | むくみ予防、夏バテ予防、高血圧予防、動脈硬化予防 |
カルシウム | 骨や歯を作る、気持ちを安定させる、免疫力を高める |
マグネシウム | カルシウムの補助、不整脈予防、体温・血圧の調整 |
リン | 骨や歯を丈夫にする、生理機能の維持、エネルギーを蓄える |
鉄 | 疲労改善、貧血予防 |
亜鉛 | 味覚を正常に保つ、免疫力向上、新陳代謝活性化、うつの緩和 |
銅 | 貧血予防、免疫力向上、骨や血管を強くする、髪や肌を健康に保つ |
ビタミンB1 | 糖質の代謝、皮膚や粘膜の健康維持 |
ビタミンB2 | 脂質の代謝、成長促進、老化予防 |
ナイアシン | 脂質やエネルギー代謝を円滑にする、皮膚や粘膜の健康を維持する |
オクタコサノール | 中性脂肪低下、LDL(悪玉)コレステロール低下、持久力上昇 |
フェニルグルコシド | 糖の吸収を抑制、血糖値の上昇を抑える、生活習慣病予防 |
ラフィノース | 肥満防止、冷え性予防、シミ・ソバカス改善、生理不順改善 |
はい。大変長くなってしまいましたが、それだけ栄養素が多いです。特徴的なものについてもう少し掘り下げてみます。
4-1.黒糖は血糖値を上げにくい糖分!
まず注目したいのが黒糖には糖質を代謝(分解)するビタミンB1や糖の吸収を抑制するフェニルグルコシドが含まれており、普通の砂糖と比べ血糖値の上昇を抑えてくれます。
しかし、糖であることには変わりないためしっかりとエネルギー補給もできます。ダイエットに注目が集まる現代、何かと敵視されやすい糖質ですが、人間に必須なエネルギーであることは変わりません。
黒糖にはブドウ糖が多く含まれており、これが足りないとイライラしたり、集中力が低下します。砂糖よりも脳に素早く届くブドウ糖は、脳機能の活性化に有効です。
さらに、オクタコサノールは体内に蓄えられているグリコーゲンをスムーズにエネルギーに変えてくれるため、スポーツやトレーニングの際にはスタミナを維持し、持久力を向上させる効果もあります。あの渡り鳥のエネルギーの源とされている栄養素ですね。
とはいえ、血糖値を急に上げると様々な悪影響もあるため、体にやさしくエネルギー補給ができる、というのがまず黒糖のいいところです。
4-2.夏場に最適!黒糖で熱中症予防
次に、黒糖にはナトリウム、カリウムが多く含まれています。熱中症予防には塩を取れ、と言いますよね。塩はナトリウムのことで、これが足りないと軽いものではむくみ、酷くなってくると頭痛、痙攣、失神などの症状が起こります。
ナトリウムは普通に生活していればむしろ塩分過多となることが多いですが、毎年熱中症で運ばれる人がいるように特に夏場では大切な栄養素です。
カリウムも体の中で非常に大切な栄養素であり、ナトリウムや水分量の調整をしています。これが足りなくなると熱中症と同じような症状が起こるため、ナトリウムと一緒に取ることが望ましいです。
一つ前の項でお話ししたように黒糖はエネルギー補給にも有効なので、まさに夏バテ予防に最適と言えます。
まとめ
いかがだったでしょうか。黒糖の魅力は伝わりましたかね。今回の内容をまとめると
・黒糖は砂糖より栄養が多い
・血糖値を上げにくく、体にやさしく栄養が取れる
・夏バテ予防にも適している
といったところですね。
味にしっかりとした特徴があるため、普通の砂糖のように万能に使えるものではありませんが、むしろ黒糖がピタッとハマる料理もあります。やはりラフテーのような沖縄料理にはよく合いますね。そのままおやつとして食べられるのもいいところです。
そして、koppariでは一部スムージーにもサトウキビジュースを使用しています。グァバやドラゴンフルーツなど栄養価は高いが甘みがやや控えめなものに自然な甘みをプラスするため、サトウキビから抽出した黒糖ジュースを使用することで美味しいスムージーに仕上がっています。
では、皆さんも普段の砂糖を黒糖に変えてみて、少し健康的な料理を作ってみてください!